希望ヶ丘の個別指導塾「AO入試プロ」

2019年度作文コンクール受賞歴

合格
生徒
出身高校
自修館中等教育学校(現役)
入塾した時期
2018年10月
合格した大学
【明治学院大学 文学部 芸術学科】
【桜美林大学 芸術文化学科 演劇・ダンス専修】
いかなごの釘煮振興協会賞(応募総数:2761作品)を受賞しました
合格後の声

受賞作品の全文

【タイトル:恋しくなる味】

 「ぶえっくしょい!」盛大なくしゃみをし、忌々しげに見えもしない風を睨む。三月上旬、まだまだ花粉は活発に働いている。人によって春の訪れを感じるものはそれぞれだろう。花粉症、桜の開花、そして兵庫県出身の私にとってはそれに並ぶほど、いや、それを超えるほどの春の訪れを感じさせるものがある。ピンポーン、と玄関の呼び鈴がなる。今年も段ボールに詰められて、私の「春」がやってきた。
 四時間目が終わり、いつも通り弁当の蓋を開けると横から「何それ?」という声が飛んできた。彼女が見ているのは白米の上に乗った茶色い小魚。「え、いかなごの釘煮だけど…」この時私は日本人のソウルフードだと思っていた釘煮は、お好み焼きのように全国区に広まっていないということを初めて知った。
神戸に住んでいた頃、おばあちゃんに釘煮の作り方を教えてもらった。「なあ、教えてもらった通りにやってるのにおばあちゃんのと同じ味にならへんねんけど」どうやっても大好きなあの味は再現できない。私のやさぐれた声を聞いて、「愛が足らんのちゃう」おばあちゃんは楽しそうに笑って言った。「そんなんちゃうわ!ほんまに味ちゃうんやもん、なんか隠し味でも入れてるん?」。おばあちゃんは鍋を覗きながら呟いた。「今はまだ教えられへんな、いつかな」と。おばあちゃんがなぜ隠し味を教えてくれないのか、まだ小学生だった私には皆目見当が付かなかった。
 段ボールを受け取り、玄関でテープを剥がす。わくわくして思わず口角が上がってしまう。届いたことを報告しようとおばあちゃんに電話を掛けた。「釘煮、今年もありがとう。なあ、この前知ってんけど横浜にいかなごあんま売ってないんやで」と伝えた。すると、おばあちゃんは言った。「あんたが次帰ってきたら隠し味、教えたるわ」
届いた釘煮を一口つまむ。おばあちゃんが恋しくなる味がした。なぜ急に釘煮の隠し味を教えてくれる気になったのか。それはきっと、孫の私に早く会いたいという一日千秋の想いからだろう。決めた。次の春はお腹をすかせておばあちゃんに会いに行こう。澄んだ風がカーテンを優しく揺らした。

合格後の声
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